2010年5月25日火曜日

UC対策 逆境に打ち勝つ進学

カリフォルニアの学生にとってUC進学は年々厳しさを増しています。受験者数が毎年過去最高を更新している中、UC各校は募集人数を絞り、州内学生の比率を下げています。州内学生のアドミッションを10年前と比較してみると、1999年に55,402人だった受験者数は、2009年には81,113人と、46パーセントも増加しています。これに対して、募集人数の増加は1999年の25,970人から2009年の32,468人と、25パーセントの伸びにとどまっています。

大学別に見ると、深刻な状況がさらに良く分かります。たとえば、UCLAでは1999年に30,962人だった受験者数は、2009年には46,266人と、49パーセント増加していますが、募集人数は1999年の3,872人から2009年の4,010人と、わずか3.5パーセントしか増えていません。

2010年には、さらに深刻な自体が起こりました。州内学生の数を減らし、その分州外の学生を増やす動きです。たとえば、UC Berkeleyは、2010年秋に12,915人の入学を予定しています。2009年と比べると50人少ないだけです。しかし、その内訳が問題です。2009年は、11,200人が州内学生でしたが、2010年は、州内学生の数が9,420人と、27パーセントも減少しました。大学関係者は、この動きを授業料収入を増やすためだと明言しています。州外学生は、州内学生の3倍の額の授業料を支払うことになるため、州外学生を増やすことは、大学の収入増加に直結するのです。

今後は、アジア系学生にとって、さらに厳しいアドミッションが待ち受けています。UC各校は、2011年のアドミッション(2012年入学の学生)から、SAT Subject Testのスコアをアドミッションからはずす新しいアドミッションを導入します。すでにご存知の方も多いと思いますが、この新しいアドミッションは、UCのアジア系学生の割合を下げることが主目的です。UCの試算では、新しいアドミッションを導入することにより、UC全体でアジア系の学生を2.1パーセント減らすことができ、逆に白人学生を2.3パーセント増やすことが可能となります。

このように、州内に住む日本人学生にとって、UC進学を目指すのは三重苦のような状況です。このような逆境に打ち勝つためには、UC一辺倒の進学準備からの脱却が必要です。幸い、カリフォルニア州内には、質の高い学部教育が受けられる私立大学はいくつもあります。州外まで目を向ければ、その数は大幅に増えます。UC各校は、大学院レベルの教育は世界的にも非常に高い水準にありますが、学部教育はコスト削減の影響もあり、残念ながら大学院と比較できるレベルのものではありません。質の高い教育が受けられる私立大学に、ファイナンシャルエイドを得て州立大学並のコストで進学することを目指すのが、賢明な選択と言えるでしょう。

2010年5月19日水曜日

IECA Conference in Toronto

今春のIECAのカンファレンスは、初のカナダでの開催となりました。トロントで行われた今回のカンファレンスでは、意外と知られていないカナダの大学の強みやカナダに進学するメリット、デメリットなどを再確認する良い機会となりました。

例年通り、カンファレンスに合わせて会場周辺の大学へのコンサルタント向けのキャンパスツアーが開催されました。トロントを中心とするオンタリオ州には、トロント大学をはじめ、質の高い教育を提供している大学が数多くあります。カナダの大学を選択するアメリカの学生は、年々増えています。例えば、バンクーバーにあるUniversity of British Columbiaには、カリフォルニアの学生が大勢アプライしています。

トロントの大学だけでなく、オンタリオ州のボーディングスクールを複数訪問することができたのは、私にとって、とても貴重な経験でした。(カナダの大学およびボーディングスクールについては、別の機会にご紹介します)