2011年5月10日火曜日

IECA Conference in Philadelphia

今春のIECAのカンファレンスは、フィラデルフィアで開催されました。フィラデルフィアはニューヨークとワシントンDCの間に位置するビジネスの街として知られていますが、質の高い大学が数多く集まっている場所でもあります。

例年通り、カンファレンスに合わせて会場周辺の大学へのコンサルタント向けのキャンパスツアーが開催されました。フィラデルフィアといえば、U Pennを思い浮かべる方も多いと思いますが、U PennのとなりにあるDrexelも、隠れた名門大学です。特に、DrexelのCo-opというプログラムは、実践的な経験が身につくインターンシップのプログラムとして全米でも非常に高い評価を受けています。

フィラデルフィアには、質の高いリベラルアーツカレッジが数多く存在します。今回は、Swarthmore College, Bryn Mawr College, Haverford Collegeといった全米でも有数のカレッジを訪問することができ、とても有意義でした。たとえばSwarthmoreは、Forbes Magazineの大学ランキングでは、全米第7位で、HarvardやYaleよりも上位にランクされています。

2011年4月28日木曜日

26パーセントの学生の選択

全米大学入試研究センターの協力で2009年に行われた調査では、全米のハイスクールのシニアの学生のうち、26パーセントの学生が、大学選びや進学準備で個別に教育コンサルタントのサポートを受けているとの結果がでました。

これに合わせて興味深いデータが発表されました。教育コンサルタントのサポートを受けた学生は、そうでない学生と比べて、州外の大学を選ぶ確率が3倍も高いそうです。また、教育コンサルタントのサポートを受けた学生は、そうでない学生と比べると、私立大学を選ぶ確率が4倍も高いとの調査結果がでています。

IECAの調査によると、教育コンサルタントのサポートを受けていない学生の80パーセントは州立大学に進学するそうです。これに対して、教育コンサルタントのサポートを受けている学生のうち、州立大学に進学する学生は20パーセントで、残りの80パーセントは私立大学に進学しているとのことです。

実際に私がサポートしている学生の場合はどうかというと、過去2年間で(スポーツ進学以外で)州立大学に進学した学生は約20パーセントで、IECAの調査結果とほぼ一致しています。私のところに来たばかりのころは、UCLAに行きたいと言う生徒がつねに過半数を超えていますが、いろいろ大学を調べて、実際に訪問し、最終的にアプライするころには、UCの大学を本命視する学生は、不思議とあまりいなくなります。

2011年4月25日月曜日

IECA カンファレンス(フィラデルフィア)

IECAのカンファレンスが、今春はフィラデルフィアで開催されます。このカンファレンスは、IECAというEducational Consultantの団体が毎年春と秋に主催するイベントで、我々コンサルタントとっては、進学に関する最新情報を入手する上で非常に重要なイベントです。開催都市は毎回変わりますが、頻度としてはアメリカ北東部が最も多く、次に西海岸、中西部、南部の順となっています。

今回のカンファレンスは5月4日(水)から5月6日(金)までですが、カンファレンスに先立って、週の前半にコンサルタントを対象とした大学ツアーが行われます。このコンサルタント向けのツアーでは、各大学のアドミッションスタッフから裏事情を聞き出したりすることができたりして、非常に有意義ですが、残念ながら一般の方は参加できません。

大学進学をとりまく環境は日々変化しています。特に昨今の景気後退の影響は、進学を目指す家庭の経済的な問題のみならず、大学経営自体にも影響がでてきているため、コンサルタントは現状をきちんと把握して、それをもとに戦略を立てることが重要です。

カンファレンスでは、大学進学だけでなく、ボーディングスクールへの進学や、ホームスクーリング、学習障害等のある生徒の進路など、教育と進学に関わるすべてのテーマが扱われます。全米からコンサルタントと学校関係者が集まってくるので、ネットワーキングの機会としても大変役に立ちます。

IECA Spring Conference in Philadelphia

2011年4月18日月曜日

UCにおける州外学生数の増加

2011-2012にUCに入学する学生における州外学生の割合が、前年度の14パーセントから今年度は18パーセントに急増しました。州外学生の年間の学費は5万ドルを越えるため、UCにとっては、州内学生の合格者を州外学生に振り替えると、1名につき2万ドル以上の収入増が見込まれます。

UCでは、来年度5億ドルの予算カットが提案されており、UCを目指す学生にとって、更なる競争の激化と増え続ける学費、予算削減による教育の質の低下という3重苦の中での進学準備となります。

UCの発表資料:Freshman application outcomes announced

2011年1月15日土曜日

UC受験者数の急増とトランスファー問題

University of Californiaでは、2011年秋入学を目指す学生のアプリケーションが急増しました。Freshmanのアプリケーションは前年度より6.1パーセント増えて、総数で142,235となりました。全てのキャンパスで受験者数が増加していますが、中でもUC San DiegoはFreshmanのアプリケーションが11.2パーセント増と人気が急上昇しています。Transferのアプリケーションの増加率はさらに大きく、2009年以降UC全体で26パーセント増えています。

Freshmanのアプリケーションのうち、州内学生のアプリケーションの増加率は3.6パーセントです。18歳人口がほぼ横ばいであることから、州内学生の増加は、学生全体の学力の向上によるものと考えられます。つまり、学力面での競争が一層激しくなっていると考えられます。また、アジア系学生の増加率は5パーセントとなっています。UCは、合格者におけるアジア系学生の比率を下げることを目標としているので、アジア系学生にとってアドミッションはさらに厳しくなっていくと考えられます。

Transferのアプリケーションの急増は、UCへの進学を目指す学生の増加と、UCのFreshmanの定員数の削減が影響していると考えられます。コミュニティカレッジ等で非常に高い成績を修めている学生でも、TransferでUCに進学できないケースが増えています。FreshmanのアドミッションがうまくいかなくてもTransferがある、という考え方は非常に危険なので、ハイスクール在学中にきちんと進学準備を進めることが大切です。

2010年8月12日木曜日

America's Best Colleges

ForbesMagazineが2010年度の大学ランキングを発表しました。このランキングには、リベラルアーツカレッジも含まれているので、リベラルアーツカレッジが総合大学に対してどのように評価されているのかがとても興味深いランキングです。上位25位までには、UCをはじめ、州立大学はひとつも入っていません。
  1. Williams College
  2. Princeton University
  3. Amherst College
  4. United States Military Academy
  5. Massachusetts Institute of Technology
  6. Stanford University
  7. Swarthmore College
  8. Harvard University
  9. Claremont McKenna College
  10. Yale University
  11. United States Air Force Academy
  12. Wellesley College
  13. Columbia University
  14. Haverford College
  15. Wesleyan University
  16. Whitman College
  17. Pomona College
  18. Northwestern University
  19. California Institute of Technology
  20. University of Chicago
  21. Carleton College
  22. Harvey Mudd College
  23. Vassar College
  24. Centre College
  25. Rice University

2010年7月20日火曜日

SEM(戦略的受験者管理システム)時代の進学準備

大学のアドミッションは、ここ数年で大きく変わってきました。その要因のひとつが、SEM (Strategic Enrollment Management 戦略的受験者管理システム) の導入です。SEMの考え方自体は以前からありますが、2008年ごろから全米で急速に広まってきました。各大学における予算削減の流れと、コンピュータシステムの進化がSEMの拡大を後押しした格好になっています。

よく「A大学は成績重視だ」とか、「B大学はボランティアをしてないと入れない」という話を聞くことがあります。100パーセント間違いとはいえませんが、大学のアドミッションはそれほど単純ではありません。どんな大学でも、成績の優秀な学生は欲しいし、リーダーシップのある学生やコミュニティに貢献する学生も欲しいはずです。大学が考慮するのは、それだけではありません。性別、人種、出身地、学生の希望する専攻も重要な要素です。音楽や美術の才能のある学生や、スポーツに秀でた学生など、特別な才能のある学生もぜひ欲しい人材と考える大学は多いのです。

このように、各大学はさまざまな要素を考慮してアドミッションを行い、それぞれの大学が理想とする学生構成を築き上げていくわけですが、この作業がまさにSEMです。最近では、大学経営の中枢にSEMを担当する部署が置かれるようになりました。例えば、UCLAではOffice of Analysis and Information Managementという名称で、大学の予算を管理する部門の中に置かれています。大学によって部署名は多少異なりますが、担当している業務は同じです。「欲しい学生を効率的に獲得する」ことが目的です。

今日では、州立・私立を問わずほとんどの大学がSEMを導入しています。各大学が理想とする学生構成を実現する上でこのシステムを導入するメリットは大きいですが、受験生にとっても、SEMに対応した進学準備が必要となります。例えば、SEMでは学生を細かくカテゴリーに分けて評価するため、ある特定の分野に秀でている学生が高く評価されやすく、全体的にバランスがとれているがこれといって特筆すべき点のない学生が評価されにくいという傾向があります。大学にアプライする際には、どのカテゴリーで勝負するのが自分にとって有利になるのか、よく考えることが大切です。

2010年5月25日火曜日

UC対策 逆境に打ち勝つ進学

カリフォルニアの学生にとってUC進学は年々厳しさを増しています。受験者数が毎年過去最高を更新している中、UC各校は募集人数を絞り、州内学生の比率を下げています。州内学生のアドミッションを10年前と比較してみると、1999年に55,402人だった受験者数は、2009年には81,113人と、46パーセントも増加しています。これに対して、募集人数の増加は1999年の25,970人から2009年の32,468人と、25パーセントの伸びにとどまっています。

大学別に見ると、深刻な状況がさらに良く分かります。たとえば、UCLAでは1999年に30,962人だった受験者数は、2009年には46,266人と、49パーセント増加していますが、募集人数は1999年の3,872人から2009年の4,010人と、わずか3.5パーセントしか増えていません。

2010年には、さらに深刻な自体が起こりました。州内学生の数を減らし、その分州外の学生を増やす動きです。たとえば、UC Berkeleyは、2010年秋に12,915人の入学を予定しています。2009年と比べると50人少ないだけです。しかし、その内訳が問題です。2009年は、11,200人が州内学生でしたが、2010年は、州内学生の数が9,420人と、27パーセントも減少しました。大学関係者は、この動きを授業料収入を増やすためだと明言しています。州外学生は、州内学生の3倍の額の授業料を支払うことになるため、州外学生を増やすことは、大学の収入増加に直結するのです。

今後は、アジア系学生にとって、さらに厳しいアドミッションが待ち受けています。UC各校は、2011年のアドミッション(2012年入学の学生)から、SAT Subject Testのスコアをアドミッションからはずす新しいアドミッションを導入します。すでにご存知の方も多いと思いますが、この新しいアドミッションは、UCのアジア系学生の割合を下げることが主目的です。UCの試算では、新しいアドミッションを導入することにより、UC全体でアジア系の学生を2.1パーセント減らすことができ、逆に白人学生を2.3パーセント増やすことが可能となります。

このように、州内に住む日本人学生にとって、UC進学を目指すのは三重苦のような状況です。このような逆境に打ち勝つためには、UC一辺倒の進学準備からの脱却が必要です。幸い、カリフォルニア州内には、質の高い学部教育が受けられる私立大学はいくつもあります。州外まで目を向ければ、その数は大幅に増えます。UC各校は、大学院レベルの教育は世界的にも非常に高い水準にありますが、学部教育はコスト削減の影響もあり、残念ながら大学院と比較できるレベルのものではありません。質の高い教育が受けられる私立大学に、ファイナンシャルエイドを得て州立大学並のコストで進学することを目指すのが、賢明な選択と言えるでしょう。

2010年5月19日水曜日

IECA Conference in Toronto

今春のIECAのカンファレンスは、初のカナダでの開催となりました。トロントで行われた今回のカンファレンスでは、意外と知られていないカナダの大学の強みやカナダに進学するメリット、デメリットなどを再確認する良い機会となりました。

例年通り、カンファレンスに合わせて会場周辺の大学へのコンサルタント向けのキャンパスツアーが開催されました。トロントを中心とするオンタリオ州には、トロント大学をはじめ、質の高い教育を提供している大学が数多くあります。カナダの大学を選択するアメリカの学生は、年々増えています。例えば、バンクーバーにあるUniversity of British Columbiaには、カリフォルニアの学生が大勢アプライしています。

トロントの大学だけでなく、オンタリオ州のボーディングスクールを複数訪問することができたのは、私にとって、とても貴重な経験でした。(カナダの大学およびボーディングスクールについては、別の機会にご紹介します)

2010年4月25日日曜日

IECA カンファレンス(トロント)

IECAのカンファレンスが、今春はカナダのトロントで開催されます。このカンファレンスは、IECAというEducational Consultantの団体が毎年春と秋に主催するイベントで、我々コンサルタントとっては、進学に関する最新情報を入手する上で非常に重要なイベントです。開催都市は毎回変わりますが、頻度としてはアメリカ北東部が最も多く、次に西海岸、中西部、南部の順となっています。

今回のカンファレンスは5月12日(水)から5月15日(土)までですが、カンファレンスに先立って、週の前半にコンサルタントを対象とした大学ツアーが行われます。このコンサルタント向けのツアーでは、各大学のアドミッションスタッフから裏事情を聞き出したりすることができたりして、非常に有意義ですが、残念ながら一般の方は参加できません。

大学進学をとりまく環境は日々変化しています。特に昨今の景気後退の影響は、進学を目指す家庭の経済的な問題のみならず、大学経営自体にも影響がでてきているため、コンサルタントは現状をきちんと把握して、それをもとに戦略を立てることが重要です。

カンファレンスでは、大学進学だけでなく、ボーディングスクールへの進学や、ホームスクーリング、学習障害等のある生徒の進路など、教育と進学に関わるすべてのテーマが扱われます。全米からコンサルタントと学校関係者が集まってくるので、ネットワーキングの機会としても大変役に立ちます。