2009年5月20日水曜日

SAT スコアチョイス導入の真相


SATの実施機関であるCollegeboardでは、今年の春から、スコアチョイス(Score Choice)というサービスを開始しました。

SATのスコアを大学に送る際には、原則として過去に受験したものすべてが送られます。ただし、今年の3月から新たに導入されたスコアチョイスというサービスを利用すると、自分が指定したスコアのみを送ることができます。

スコアチョイスを利用するか否かは、自分で選ぶことができます。多くの大学では、スコアチョイスの利用を認めていますが、スタンフォード大学など一部の大学では、スコアチョイスを利用せずにすべてのスコアを送ることを要求していますので、利用の際には注意が必要です。

スコアチョイスを利用すると、自分が見せたいスコアだけ見せることができるので、受験生にとっては、とてもありがたい制度のように見えます。実際に、スコアチョイスのおかげで回数を気にせずにSATを受けられるようになった、と喜んでいる学生も少なくありません。

しかしながら、実際にはスコアチョイスがアドミッションにあたえる影響は、さほど大きくありません。むしろ、ほとんど無いと言ってもいいかもしれません。学生がスコアチョイスを利用せずにすべての成績が大学に送られた場合でも、大学はもっとも良いスコアのみを考慮する大学が多くを占めています。受験した全てのSATのスコアを考慮したい大学は、はじめからスコアチョイスの利用を認めないでしょう。

では、なぜCollegeboardは今になってスコアチョイスという制度を導入したのでしょうか。テストスコアは受験生本人に帰属するものなので、本人が送るスコアを選べるようにしたとCollegeboardは言っています。しかしながら、スコアチョイスの導入の本当の目的は、受験生のためでもアドミッション担当者のためでもありません。

スコアチョイスの導入は、実は大学のSAT離れの動きと密接にかかわっています。大学のアドミッションにおいては、SATなどのテストスコアの価値を疑問視する動きが盛んになってきています。実際にアドミッションからSATをはずす大学もでてきており、Collegeboardは危機感を持っています。

受験生の減少という危機を前に、Collegeboardが新たな収入源として取り組み始めたのがスコアチョイス導入による手数料ビジネスというわけです。受験生の心理をついた巧みなビジネスですが、実は受験生が得られるメリットはあまりなく、Collegeboardだけが得するシステムと言えるでしょう。

2009年5月4日月曜日

IECA Conference in San Francisco

今春のIECAのカンファレンスは、サンフランシスコで開催されました。今年は、大きく変わりつつあるアドミッションをとりまく環境が大きなテーマとなっていました。中でも、SEM (Strategic Enrollment Management)は、近年進化が著しく、最新情報を得ようとみな真剣に専門家の話に耳を傾けていました。

例年通り、カンファレンスに合わせて会場周辺の大学へのコンサルタント向けのキャンパスツアーが開催されました。ベイエリアは人口や高い教育水準と比べると、圧倒的に質の高い高等教育機関が不足している地域ですが、それでも他地域のコンサルタントにとって、StanfordやSanta Clara University、UC Berkeleyなどのベイエリアの学校を訪問する良い機会となりました。