2010年7月20日火曜日

SEM(戦略的受験者管理システム)時代の進学準備

大学のアドミッションは、ここ数年で大きく変わってきました。その要因のひとつが、SEM (Strategic Enrollment Management 戦略的受験者管理システム) の導入です。SEMの考え方自体は以前からありますが、2008年ごろから全米で急速に広まってきました。各大学における予算削減の流れと、コンピュータシステムの進化がSEMの拡大を後押しした格好になっています。

よく「A大学は成績重視だ」とか、「B大学はボランティアをしてないと入れない」という話を聞くことがあります。100パーセント間違いとはいえませんが、大学のアドミッションはそれほど単純ではありません。どんな大学でも、成績の優秀な学生は欲しいし、リーダーシップのある学生やコミュニティに貢献する学生も欲しいはずです。大学が考慮するのは、それだけではありません。性別、人種、出身地、学生の希望する専攻も重要な要素です。音楽や美術の才能のある学生や、スポーツに秀でた学生など、特別な才能のある学生もぜひ欲しい人材と考える大学は多いのです。

このように、各大学はさまざまな要素を考慮してアドミッションを行い、それぞれの大学が理想とする学生構成を築き上げていくわけですが、この作業がまさにSEMです。最近では、大学経営の中枢にSEMを担当する部署が置かれるようになりました。例えば、UCLAではOffice of Analysis and Information Managementという名称で、大学の予算を管理する部門の中に置かれています。大学によって部署名は多少異なりますが、担当している業務は同じです。「欲しい学生を効率的に獲得する」ことが目的です。

今日では、州立・私立を問わずほとんどの大学がSEMを導入しています。各大学が理想とする学生構成を実現する上でこのシステムを導入するメリットは大きいですが、受験生にとっても、SEMに対応した進学準備が必要となります。例えば、SEMでは学生を細かくカテゴリーに分けて評価するため、ある特定の分野に秀でている学生が高く評価されやすく、全体的にバランスがとれているがこれといって特筆すべき点のない学生が評価されにくいという傾向があります。大学にアプライする際には、どのカテゴリーで勝負するのが自分にとって有利になるのか、よく考えることが大切です。